平野啓一郎「ある男」 まとめ・感想

読書

この本との出会い

平野啓一郎

誕生:1975年6月22日(43歳)
出身:日本・愛知県蒲郡市
職業:小説家
言語:日本語
最終学歴:京都大学法学部卒業
Wikipedia様より引用

著者の「決壊」という本で、ファンになりました。

重いストーリーでしたが、大好きな本です。

 

著者の新作で「ある男」が出ていること

知っていたのですが

まだまだ、積読している本が沢山あり

新しい本には手が出ませんでした。

 

しかし、ニュースで第70回読売文学賞を

受賞されていて、我慢出来なくなり買いました(笑)

おめでとうございます!

気付き

「自分の愛する者同士が愛し合う。しかも、自分が仲介する必要もなく。」

位置№2051より引用

この一文から、すぐに思い出す事があった。

愛し合うは違うかも知れないが。。。

 

私の誕生日に、サプライズがありました。

それは、離れて暮らす息子からの動画メッセージです。

 

「息子」が動画をくれたのは、人見知りな「妻」が緊張しながらも

どう接していいか不安なまま、息子に連絡を取り

事情を話してくれて、出来上がったものだった。

 

息子のメッセージ内容は、涙を流しながら見た。

自分が離婚で出ていった当時、恨んでいたことさえ知らなかった。

その時から、今までの気持ちを語ってくれた。

 

20歳にもなる息子が、素直に、こんな父親に

動画メッセージくれるなんて、嬉しかった。

動画をくれたことにも、内容にも感激してしまった。

 

親バカながら、良い息子に育ったんだと

離婚して良いことの一つに思わせてくれた。

息子も自分の気持ちを、言いたくても機会が無かったので

スッキリしたような顔でいた。

 

自分が仲介せずに、妻が頑張ってくれたからと

思うと、より感激です。

思い出しても泣きそうになる(笑)

有難うございます。

「ある日突然、両親共々、惨殺されたと知ったときの朝の原誠の心情を想像した。」
位置№3103より引用

この重たい一文だけで、衝撃的な想像を掻き立てられる。

もし、自分だったら?受け止めきれないと思う。

 

これが実際に起きた事件だったら

その後の心理的な保護、マスコミからの保護など

現在のシステムでは、どの様な保護になるのか知らないが

精神的な回復が出来るような、プログラムが有ることを願う。

 

また、これが自分の父親による

犯行だとわかった時の、子供の気持ちも

想像を絶する。

 

事件に子供が絡むと、なぜ残酷に聞こえるのか?

それは、今後の未来の時間が多く有るからか

汚れなき心、精神で育って欲しいからそう思うのかも知れない。

 

全ての子供が、犯罪と無縁な場所で

すくすくと育って欲しい。

「カテゴリーに人間を回収する発想が嫌い」
位置№3217より引用

○○人だからとか、すぐにくくりたがる考えは私も嫌いです。

 

そのキッカケとなったのは

昔、同じ会社に中国の人がいて、揉め事を数回起こしていて

会社が不景気になると、退職していった。

 

その後、税金の計算ミスで

徴収することが、必要になった時に

一番最初に来てくれて

「納税は国民の義務ですから」と言いすぐ払ってくれた。

 

同じ状況の日本人もいたが、何度連絡しても

来てくれなくて、非常に困った事があった。

結局、来てもらえず徴収出来ませんでした。

 

それ以来、一つのカテゴリに

くくるのは、変な考えで

「個人」なんだと思うようになった。

関東大震災の記録をいくつかめにしていたが

立件された朝鮮人殺人事件だけでも53件あり~
位置№3243より引用

大震災の裏に、こんな事件が

あった事を知らなかった!なんて酷い事件だろう。

 

日本人が海外に行っても同じことされるだろうか?

当時の日本人の考えオカシイのか?

 

自分の友達も、仕事で中国へ行き

兄も仕事で、マレーシアに行っている。

現代には、こんな事件は起きないと思うが

何かあったらと心配になってしまう。

 

関東大震災朝鮮人虐殺事件 としてWikipediaにも

掲載されていました。

人間の一面にこうなる心情が、あるのか。

ひどすぎる事件です。

 

 

震災の混乱に乗じた事件。

現代で言えば、ネットの「匿名」を活かし

誰かを攻撃することが、同じ事だと思います。

形が変わっただけで、人間は進歩してないのか不安になる。

 

せっかくのインターネットもSNSも

人類が情報を共有して、より早く進歩出来る物に

思えるが、誰かを攻撃するような足を引っ張る行為は

インターネットの使い方を、履き違えている。

息子がいつの間にか、自分とはかなり違った、人間になっていることに驚き

喜びを感じた。

一人の人間として尊重しなければならないと思うようになっていた。

位置№4123

自分の息子を思い出してしまう。

私の場合は離れて暮らすので、会えることも少なく

久々に会うと、なおさら別人の様に

成長している彼に驚いてしまう。

 

その成長に私が、置いていかれているような感覚を覚える。

大人になっていく、彼の成長を間近で

見れないのは残念だったが、久しぶりに会うと

頼りがいがあったり、他人に明るく接することが出来たり

進化した彼を見れるのも、楽しみ。

 

次に会ったときも、驚くような進化をしていて欲しい(笑)

一体、愛に過去は必要なんだろうか?
位置№4201より引用

木戸からの報告で、3年9ヶ月の結婚生活は

死んだ夫にとって、人生でやっと掴んだ

初めての、幸せな時間だったと分かった。

 

里枝も、この本の文章の最後の一文で

自分にとっても、幸福な時間だったことが書いてある。

ハッピーエンドだと受け取れる。

 

過去がどうであれ、今を一緒に生きて過ごしている時間が

心から幸福と思えるならば、そこには愛があったんだと思う。

 

ここからのラストシーンに掛けて

泣きながら、読むことになりました(笑)

「ある男」とは 感想

一体、愛に過去は必要なんだろうか?

この一文の答えを自分なりに考えてみた。

 

著者の「私とはなにか」で書かれていた

個人よりも「分人主義」という考え。

 

このお話の続きが、この「ある男」にも思える。

過去の自分を捨てて、新たな自分に変わって生きる。

新しい戸籍を「新たな一人」として生きていく。

 

自分の中で「過去の自分」から、作り出された「新しい自分」。

それまでの「過去の自分」もずっと寄り添い、共存していく。

 

そうして「自分」が出来ていくと思う。

なので「過去の自分」が、いてこそ「今の自分」がある。

 

愛は「その時の自分達」が出会い

共に心から、嘘偽り無く幸せと思えたなら

そこにしっかりと、存在していたと思う。

なので、「愛に過去も必要であった」という答えになる。

 

と、書いていて自分でも、よく分からなくなりそう(笑)

過去が必要ないと、言ってしまうのは

単純に寂しいし、悲しいと思う。

 

生まれ持った環境や、出身の違いで

差別やいじめをすることは、その人をカテゴリに

くくっていることになる。

その人を見ていないのが、一番問題になる。

 

そういった状況を、経験してきた人達の心情が

この本を読んでいると、想像出来て辛い部分もあった。

 

しかし、ラストシーンでは、自分の息子だったらと想像してしまい

涙を流して、ハッピーエンドを迎えました。

再読リストに入れてます。

 

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