その他

「蜂の巣駆除」はブルース・ウィリス気分でやるしか無い。

紫の花の蜜を吸うミツバチ

多くの人と同じように、私も蜂が怖くて苦手!できれば一生関わりたくない。そう思っていたが「蜂の巣駆除」は私の仕事の一つになっていたのだ!

総務業務の中には蜂の巣駆除もあった

養蜂箱から出てくるミツバチ

小さい工場の総務部では、蜂の巣駆除も業務の一つである。

専門の業者に頼めば、安全に駆除してもらえる。しかし私の働いている会社では、昔から私も含め従業員が駆除をしている。これまでに蜂スプレーを何本使ったことか(笑)

蜂とたわむれるクマのプーさん

昔、お願いをすると、嬉しそうに何でもやってくれる社員がいた。定年間近の男性で、体型はポッチャリしている。いつもニコニコしていて、人当たりも柔らかく優しい人だった。彼が放つ優しいオーラのせいか、彼の体調が優れないせいなのか、何故か全体的に黄色い印象があった。

誰しもが嫌がる蜂の巣駆除も、お願いをすると嬉しそうにやってくれるのだ。駆除するときもニコニコしていて、蜂の巣に手を伸ばす姿はまるでクマのプーさんだった。

 

ある日、プーさんが蜂の巣駆除のお願いをされていた。場所を聞くと「あいよ~」と軍手を取り出し、歩き出していた。軍手だけじゃなく、蜂スプレーとか防護服などを取りに行くのだろうと思ったが、直接向かう様子。

「え、軍手だけ!?」驚いて聞くと、プーさんは「うん」と答えた。

「軍手だけする意味はあるんですか?」と聞くと「怖いからね」と良くわからないを回答していたので「あ、へぇ~」と返した。

プーさんの駆除を、かなり遠くから見学させてもらった。ビビりながら見ていると、具合の良い木の棒で蜂の巣をバコッと叩き落とす。瞬殺だった(笑)その後、巣から出てきた蜂にたかられても、手で払うだけ。

蜂がいなくなってから「刺されないのか?」と聞いてみると、何度も刺されているらしいが「チクッとするだけだよ」と言っていた。人に対しては優しい腰の低い人だったが、蜂に対しては、面の皮も体の皮もぶ厚いスーパープーさんだった。

覚悟を決めるとブルース・ウィリスになれる

このプーさんの流れがあるため、さらに売上が貧弱な会社では、外部に蜂の巣駆除を発注することはなかった。そのためプーさんが引退したあとは、総務部が蜂の巣駆除の担当になる。つまり私の出番だ。

蜂どころか無害な虫も苦手なこの私が、駆除担当になるという。想像しただけでも気を失いそうになる。しかし、働く従業員の安全を守るため、そして自分の立ち位置や出世のためにも(笑)覚悟を決めるしか無い。

ピンクの花の中にミツバチがいる

夏のある日、初めて後輩社員から「倉庫ある蜂の巣を駆除して欲しい」と言われた。プーさんが引退してから数ヶ月の間に、自分の番だと決めていた覚悟はフワフワと心の隅っこで消滅しようとしていた。そのため一旦断れないか、頭の中で色々な言い訳を考えるが、後輩社員が納得するような回避案は浮かばなかった。当たり前だが(笑)

 

消えかけている「覚悟」を手繰り寄せ、自分でやるしか無いともう一度気持ちを高める。頼れる人は自分だけなのだ。その瞬間、まるでアルマゲドンのブルース・ウィリスのような気分になる。心配そうに見つめる後輩社員に、落ち着いて「Just leave it to me」(字幕:ああ、俺に任せてくれ)と言いゆっくりと頷くと、全てがスローモーションに感じる。「なんで英語?」というツッコミを背中に受けながら。そして頭の中にはアルマゲドンの主題歌である、エアロスミスの「I Don’t Want to Miss a Thing」が流れている。

棚から「フマキラー」と書かれた、スプレーを取り出す。1本では生還できる気がしないので、2本を手にした。カウボーイが銃を構えるように両手に持ち、ドアを開け後輩社員に「危ないからくるなよ」と出ていく。ドアを閉めた瞬間「I Don’t Want to Miss a Thing」はサビに入る。

相手は地球に飛んでくる隕石ではない、ただの蜂だ。しかし元々は地球外知的生命体で、隕石に乗って来たという説もある。目の前にいる蜂を撃退することと、隕石を破壊することに、なんの違いあろうか!!

 

 

現場に着き、まずは逃げ道を確認する。スプレーを噴射させて、ダッシュして逃げるシュミレーションを念入りにくり返し本番に望む。ミスは許されない。

蜂の巣を目の前にすると、また怖くなるがやるしか無い!ヘッピリ腰のまま、スプレーを吹き付ける。「シューーーーーー!」恐怖と緊張からスプレーのレバーが、折れそうなぐらい全力で握っていた。スプレーから白い気体が噴射され、蜂の巣に直撃する。少し間をおいて、「ブーーン」と何個もの羽音が聞こえ、白い気体の中から黒い影が見える。その黒い影が私を目掛けて、飛来してくるのが見えた!スプレーを噴射しつつ「ぎゃーーーーー!」と全力で逃げる。後輩社員を連れてこなくて良かった(笑)

数分後、現場を確認すると蜂はいなくなっており、刺されること無く無事に駆除できた。

ハチマゲドン ~Coming Soon~

黄色い花の蜜を吸うミツバチ

我が家にも蜂の巣が作らていた!

最近、家でも蜂の巣駆除を行った。

妻から「蜂の巣がある」と報告を受けて、現場に行ってみる。普段行き来しない家の裏側の、窓枠に作られていた。それはこれまで駆除してきた、シャワーヘッドのような形ではなく、マーブル模様の丸い形をしていた。シャワーヘッド型の巣は、アシナガバチの巣だが、このマーブル模様は「スズメバチの巣」だった!

毎年夏の時期になると、よくテレビで特集されているが、実物を間近で見ることは多くない。そのために興味津々になり、マーブル模様のそれに近づいて見てみる。ソフトボールよりも一回り大きいくらいで、不気味な穴が一箇所空いている。じっくり観察していると、その穴から黄色い頭のスズメバチが顔を出した。「うぎゃーーー!」妻と2人で走って逃げた(笑)

紫の花に降りたミツバチ

すぐにホームセンターへ行き、スプレーを買ってきた。スプレーにかいてある説明を読むと、駆除は基本的に夕方から夜に行うらしい。ちなみに、スズメバチ専用のスプレーがあるので、蜂の種類にあったスプレーをえらぶ。

夕方から夜に駆除を行う理由

1、昼に巣を離れた蜂が、戻ったとき巣が無いと攻撃的になり危険

2,涼しい時の方が、蜂の動きが鈍い

薄暗くなった夕方、妻を従えて家の裏に行き、マーブル模様の巣にスプレーをかけた。複数の「ブーーン」という羽音に、2人で「ギャーーー!」と声を出してしまった。

すると、隣の家から「お父さん?」と声がする。振り返ると隣の小さな可愛い姉妹(2歳と4歳くらい)が、網戸越しに並んで見ていた。今の叫び声が聞かれてしまったのであろう(笑)

恐怖からテンションが上がっていたので「そうだよ、すぐ帰るからね」と言ってしまった。薄暗くお互いの顔も良く見えないため、また声も違うため、何度も「お父さん?帰ってくる?」というラリーをしていた。すると姉妹の後ろから、お母さんが登場した。

怪しい状況に焦る、そして姉妹との変な会話を聞かれてしまったであろうか?慌てて挨拶をして隣の者で蜂の巣を、駆除していることを説明をした。お母さんは「それは大変ですね~」と笑ってくれた。誤解されて警察を呼ばれなくて一安心。その間も可愛い姉妹は「お父さん?」と続けていた(笑)

肝心のスズメバチの巣を確認すると、動いている蜂もいなくなったので、具合の良い棒で叩き落とせた。幼虫が出てきて、また「ぎゃーー」っと声を上げそうになったけど(笑)

敵を知るため、スズメバチについて調べた。

凶暴なのになんで「スズメ」なんて可愛い名前がついているんだろう?と、調べてみるとその由来は、2つありました。

  1. その大きさがスズメほどもある。
  2. 巣の模様がスズメの模様に似ている。

どちらにしろ「スズメ」という、とても可愛い由来でした。このスズメバチは、これからの時期(9月~11月)に一番攻撃性が高くなるのです。繁殖のピークを迎えたあと、次期女王を大切に守っているのです。この女王を守るため、巣に近づく者には攻撃をするのです。

大きな音、声や激しい動きには敏感です。見かけたら、静かに離れましょう。

ABOUT ME
アガイ
20代に婿養子になり、息子が出来てから離婚を致しました。 離婚ショックから回復した時の経験を書き 過去の私と同じ様に辛い思いをしている人を 少しでも楽にしたいです。