9割捨てて10倍伝わる「要約力」
表紙をめくってすぐに「究極の要約力とは、死んでもこれだけは言っておく!であるーそう肝に銘じておきましょう。」と書かれていて難しい技術よりも、まずは気持ちが大切だと教えてくれます。
人に何か伝える時「死んでもこれだけは!」と思うと、本当に必要な言葉だけになり、この気持ちだけあれば要約力が上がる気がしてきます(笑)
Contents
著者紹介
山口 拓朗 さん
大学卒業後6年間、出版社で雑誌記者を務めたのち、2002年にフリーライターとして独立。「渋谷のクラブに集う20代の若者」から「老人ホームに集う90代のお年寄り」まで、23年間で3300件以上の取材・執筆歴を誇る。執筆媒体は『日経おとなのOFF』『Asahi Weekly』『FLASH』など約50誌。
山口拓朗公式ホームページ様より引用
代表的な著書
- 『ダメな文章を達人の文章にする31の方法』
- 『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』
- 『買わせる文章が「誰でも」「思い通り」に書ける101の法則』
- 『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』
目次
はじめに
第一章 究極の要約は「死んでもこれだけは言っておく」
1「要約」できれば人生が変わる
2「要約」の3つのステップ
3「要約力」のキモは「誰に」「何を」「どう」伝えるか
第二章 ステップ① 情報収集 必要十分な情報を集める
1「いい要約」をするためのコツ
2「質問」で情報の質を高める
3自分を客観視して情報の「思い込み」をなくす
4要約の精度を高める正確な情報収集法
第三章 ステップ② 情報整理 情報をグループ分けする
1「グループ分け」で効率的に情報整理する
2情報に「優先順位」をつける
第四章 ステップ③ 情報伝達 相手に簡潔に伝える
1「話しすぎない」「言葉たらず」は伝わらない
2「ひと言」で伝わる具体的なスキル
3具体性を増すキーワードがあると、より伝わる
4さらに伝わりやすくなるテクニックと練習法
おわりに
どうやって要約力を上げていくのか?と思いながら読み始めましたが、目次に書かれていました。
情報を収集(必要十分な情報を集める)して整理(情報をグループ分けする)し、必要な人へ伝達(簡潔に相手に伝える)という段階を踏んで、それぞれのステップで勉強していけます。
要約・気付き
究極の要約は「死んでもこれだけは言っておく」
「要約力」とは何となくの理解しか無かったので、まずはこの本を読んで明確に理解しようと思いました。この引用に書いてありました。
本書でお伝えする「要約力」の最終形態は的確なアウトプットです。
p,26より引用
的確なアウトプットが最終形態です。因みにアウトプットとは?
読書、人の話、映画鑑賞などでインプットした情報を、自分の頭で整理して思考したことを、人に話したり、メモやノートに書いたり、勉強した内容を実践して動くことです。その結果や反響なども含めアウトプットです。
そして「時間は命」とも書いてあります。要約力の無い文章や会話では、人の時間を奪うことにもなります。そのために「的確なアウトプット」が求められ、要約するスキルの重要性が高まってきています。
この本を読んでスピーディーで的確なアウトプットが出来るように、要約力を高めていきたいと思います。
優先順位
相手に伝える情報の優先順位は?
p,56より引用
会話をする相手に伝えたい情報の優先順位を考えてますか?
- 相手のニーズを満たす情報
- 相手が喜びそうな情報
- 自分が伝えたい情報
この3つのうち③を優先してしまうと、要約力が低くて話は伝わりません。家族との会話を楽しむ時には必要有りませんが、仕事上の会話や報告では時間も限られていますので要約をして伝えなければなりません。
また伝えた後に相手から、どのような反応をもらうか決めてから話さなければなりません。それは相手の反応が最終的なゴールだからです。このゴールをイメージして会話を進めると、より伝わりやすくなり要約力も身についていきます。
著者の山口さんは講演をする時に、聴講者の属性を確認するそうです。ある企業の社員なのか?学生なのか?それによって言葉の選び方、話し方を変えて「聴講者に満足してもらう」という最終的なゴールを目指すそうです。
「要約」の3つのステップ
要約をする時の3つのステップです。
①情報を収集・・・必要十分な情報を集める
②情報を整理・・・情報をグループ分けする
③情報を伝達・・・簡潔に相手に伝える
この本を読み進めるときに、このプロセスを頭に入れておくとより理解度が深まります。
この3つに優劣は無く全てのプロセスが重要なので、ステップを踏んで進めると分かりやすくなります。ステップを進める時に、要約のキモである「誰に」「何を」「どう」伝えるかを考えながら進めると、要約力も高まります。
情報を収集
1つ目のステップの「情報収集」です。
メタ認識力
「メタ認識力」とは自分の思考や行動を客観視する能力のことです。
p,89より引用
最近良く聞くようになってきた「メタ認識力」ですが、言葉の意味を調べてみるとメタは「高次の」という意味になるので、高い次元から自分の思考や言動に矛盾がないか認識する力と解釈してます。
メタ認識力が低い人と高い人の違いです。
低い人の特徴
- 視野が狭くなる
- 目の前の問題に翻弄されやすい
- 感情的な言動を取りやすい
- 客観的に物事が見れない
- コミニュケーション能力が低い
高い人の特徴
- 視野が広くなる
- 目の前の問題に解決策を打ち出せる
- 理性的な言動をとる
- 客観的に物事が見れる
- コミニュケーション能力が高い
これだけの違いあるならば、誰しもメタ認識力をあげたいと思いますね。私も上げたいです(笑)読み進めるとちゃんと「メタ認識力」を身につける方法が書いてありました。
- 自分の感情を書く(客観視するため)
- 出来事を書く(出来事を客観視するため)
- 小説を読む、映画を見る(自分が主人公になった気分で見る)
- 第三者からフィードバックをもらう
①②をTwitterやブログなどで書くことができれば、第三者からフィードバックがもらえる可能性が高いです。他人に見られる緊張感が出るのでお勧めです。③は黙っていても好きなので読むし観ます(笑)
ということは、SNSやブログをやっている人は「メタ認識力」を身につける作業をしていて、長く継続できればその能力は向上していくのだとわかりました。メタ認識力を向上出来るという事が分るとより楽しみながら継続することが出来ますね!
抽象化具体化
「抽象情報⇔具体情報を習慣化している」
p,101より引用
要約力が低い人の話を聞いていると、例えば車の話をしていたら「トヨタ」と言ったり「ミニバン」と言ったりして、聞きづらく理解するのにエネルギーが必要になります。
「車」が枝だとしたら、幹になるのは「メーカー」になり、葉は「車種」や「ボディタイプ」になってきます。ボディタイプの話をしているのに、車全般の話しになったりすると抽象化⇔具体化ができて無く要約力が低い人と思われます。
要約力を高めるために、抽象情報⇔具体情報を行き来する思考を身につけておくことが大切になります。また普段から○○より上にある抽象情報はなんだろう?○○より下にある抽象情報はなんだろう?と考える癖を付けましょう。
書籍からの情報
書籍からの情報を整理する書籍の読み方が書かれていました。
「必ず目次に目を通しましょう。」それはその本の究極の要約になっているからです。目次を読んで自分の必要としている項目を探しそのページだけ読みます。
この一文があったのでこの記事の目次項目は、いつもより内容を濃く書きました。そこで気が付きました、この本の目次は見やすくて、まず第一章で「要約とは」が書いてあり、「要約」がどのようなモノか理解できます。第二章からはその「要約」を身につける為の3つのステップが各章毎に書かれていて、読者は1個ずつステップ踏んで読み進めればいいと言うことがわかります。
結局、自分には全部必要という事が分かり初めから最後まで読みました(笑)
最初から最後までしっかり読まないといけないというのは思い込みです。
p,107より引用
と思っているとこの引用が来ました(笑)
今回の私の場合じゃない方は、必要ない情報は読むだけで時間の無駄になり、本来必要だった情報がぼやけてしまいます。情報収集の効率を高めるためにも、情報の要不要を明確にして読み進めましょう。
情報を整理
- 情報の要不要を見極める
- 情報をグループ分けする
- 情報に優先順位をつける
p,45ページより引用
ステップ①で集めてきた情報を次は整理整頓していきます。その手順がこの引用になります。
この情報整理のプロセスで最も大事なのは「情報のグループ分け」です。
そのつど最適な情報を取り出すことが出来るよう、情報にタグをつけて適切なグループに振り分けて保管しましょう。
情報を伝達
話しすぎ派?言葉足らず派?
「話しすぎ」「言葉足らず」は伝わらない。
p,140より引用
自分が上司や家族と話している時に、こんな言葉を言われてないか思い出してみました。
- それで話のポイントはなんだ?
- 結論は何だ?
- 本題とは?
これらの言葉を言われている人は、余計な情報も織り交ぜてしまい「話しすぎ」になっていて要約ができていません。
逆に「言葉足らず」になるとこのような言葉が返ってきています。
- どういうこと?
- えっなにが?
- 誰の話し?
このような言葉が返って来る人は、自分が知っていることは相手も知っていると、勘違いして話してしまい知らないことを言われている相手は混乱してしまいます。自分が知っているから余計だと思っても初めから話しましょう。
要件+結論優先型
相手に情報を伝える時に、このテンプレートに当てはめると簡潔に伝えることが出来ます。これまでの著者の本では「結論優先型」がたびたび出てきて、あらゆる文章にも使えるこの型は万能なテンプレートと言われて紹介されてます。
- 要件(今から話す事柄の全体像)
- 結論(伝えたい事柄(死んでも言っておくこと))
- 結論(結論の理由)
- 詳細(結論についての詳細)
自分が聞く側の立場になると、常にこのテンプレートを使ってくれると早いインプットが可能になるのことが想像出来ます。
まず先に①と②を言うことで、何の話しなのか?どういった内容なのか?という話の輪郭を掴むことが出来ます。次に③で筋の通った理由を添える事で、理論性が保たれ説得力が増していきます。最後の④は具体的な話や体験談を付け加えて、詳細な内容まで伝えこれまでの会話の説得力をより増すことが出来ます。
列挙型
複数の情報を整理して伝えたい時に、最適なテンプレートになります。
- いくつポイントがあるか?
- 1つ目のポイント
- 2つ目のポイント
- 3つ目のポイント
- まとめ
列挙するポイントは少ないほうが伝わりやすいですが、3~5個にして多くても7個までにしましょう。
愛と情熱
話す内容への「愛」と「情熱」はありますか?
p,215より引用
これまで書いてきた「要約力」を高める方法。これを実践しても相手にイマイチ伝わらない場合は「愛」と「情熱」が不足しているのかも知れません。
相手に伝えたい事柄に無関心では、その無関心という気持ちが相手に伝わってしまい、伝えたい事も伝わらなくなってしまいます。愛や情熱というのは、ありのままに伝わってしまうものだからです。
話す内容への「愛」と、それを届ける相手への「愛」そして相手にそれを届けたいという「情熱」は、私達が思っている以上に相手に伝わっています。
あなたの言葉が伝わっていないとしたらその原因は、あなたのエネルギーが小さいからだと思い返してください。
感想
これまで数多くの婚活パーティーに参加してきた私が思うことは、もっと早く読んで要約力を上げておきたかったということです。
婚活パーティーは回転寿司のように、女性が座っている席に男性がグルグルまわり3分~5分の短い時間の会話で、カップリングを目指さないとなりません。
その短い時間の中で、効率よく自分をアピールして相手との会話を盛り上げる事が大切になってきます。その時に必要なのがこの本で身につけることが出来る「要約力」です。
例えば自分をアピールする時にも「要件+結論優先型」や「列挙型」でわかりやすく自分を説明できれば、簡単に自分を理解してもらう事ができて、説明が上手だと認識される事ができます。それだけで他のライバルとの差別化ができて、相手に「説明が上手な人」と印象を与えカップリングに近づくことは間違い無いでしょう。
相手の情報を頭に入れるときも、自分に必要な情報をだけにタグ付をしましょう。相手の人数も多いので、上手く情報を整理しないと混乱してしまいます。またカップリングになったとしても、その時の情報を覚えて無いと次に誘う時に盛り下がってしまいます。
不要な情報は捨てて必要な情報を上手く整理整頓できれば、カップリングの次にも進む可能性が高くなります。
当時の私がこの本を読んでいれば、100回も失敗することは無かったと思います(笑)
まとめ
要約力を強化しようの裏メッセージは「主体的に生きよう」です。
「おわりに」より引用
最後に「主体的に生きよう」と言われると、ただ要約力を身につけて社内や周りからの評価を上げるだけじゃなく、パソコンやスマホで手軽になったインターネットから大量の情報を受け取っている現代人に、生き方をも応援してくれているように感じます。
要約力を高めることができれば、大量の情報にさらされて右往左往する事もなく、自分に必要か不要かを見極めて、必要は情報自ら掴み取り、不要な情報は9割捨ててより生きやすい人生になっていくのだと思います。
著者の山口さんが、そんな現代の生き方を応援してくれている優しい一冊だと感じました。