Amazonオーディブルで見つけました!この表紙の著者の迫力に惹かれます。
私は題名に「読書」と付いていると、この人が言う読書とはなんだろう?と思い、手にとってしまうクセが有るようです(笑)
著者紹介
著者は見城徹(けんじょうとおる)
本の内容も熱いと思いましたが、この表紙の外見もだいぶ「熱い」です!この熱さは嫌いじゃないです。
1950年12月29日生まれ69歳
日本の編集者、実業家。株式会社幻冬舎を創業し代表取締役社長(現任)として同社を上場させた。株式会社ブランジスタ取締役。エイベックス株式会社取締役(非常勤)。株式会社テレビ朝日の放送番組審議会の委員長。
Wikipedia様より引用
経歴も凄いですが出版された本も凄いモノばかり!
五木寛之『大河の一滴』『人生の目的』、石原慎太郎『弟』『老いてこそ人生』、郷ひろみ『ダディ』、村上龍『13歳のハローワーク』、木藤亜也『1リットルの涙』、山田宗樹『嫌われ松子の一生』、劇団ひとり『陰日向に咲く』、小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言・戦争論1 – 3』等など
目次
第1章 血肉化した言葉を獲得せよ
第2章 現実を戦う「武器」を手に入れろ
第3章 極端になれ!ミドルは何も生み出さない
第4章 編集者という病い
第5章 旅に出て外部に晒され、恋に堕ちて他者を知る
この本を調べてみると、帯や表紙を書いている人も凄い人ばかり。中でも秋元康の言葉がこれまた熱い。
「見城徹の読書は血の匂いがする。ただ、文字を追って『読了』と悦に入っている輩など、足下にも及ばない。書を貪り喰ったものだけが知る恍惚の表情を浮かべている。著者の内臓を喰らい、口から真っ赤な血を滴らせている」 秋元康氏
Amazon商品紹介ページより引用
感想
成長をして生きる
僕はかねがね「自己検証、自己嫌悪、自己否定の三つが無ければ、人間は進歩しない」と言っている。
「はじめに」より引用
自己検証とは、自分の思考や行動を客観的に見直し修正すること。
自己嫌悪とは、自意識過剰や自己顕示欲を恥じ、自分の狡さや狭量さ怠惰さに苛立つこと。
自己否定とは、自己満足を排し、成長していない自分や自分が拠って立つ場所を否定し、新たな自分を手に入れること。
「はじめに」から熱さが伝わってきます!私のように年間100冊読むというのが目標なんて言っていることを笑われそうです。そんなことよりも、読書をして何を感じたか?読書して得た言葉を使ってどうやって生きていくのか?を問われてます。
読書をして自分よりも過酷な状況にある主人公と自分を比べ、自己検証、嫌悪、否定をして最後には自己肯定することで成長するのです。
現状に満足してしまっては進化が無く、生きている価値さえ無くなってしまうので、読書を通じて常に情けない自分と向かい合い自分を確立していく。
たった一度の人生では味わえない経験や体験を、多くの本を読み、主人公になりきって血肉化した言葉を獲得せよと言ってます。
血肉化した言葉を獲得せよ
著者は自分の顔が世界で一番醜いと思い、また体が小さかったせいで劣等感を持っていました。そのせいで担任の先生からもイジメを受けてました。しかし親に助けを求めることが恥ずかしく出来なかったので耐えていました。
状況が変わったのは中学2年生の夏。いつもの様に山にある神社に呼び出された時、もう殴られっぱなしになるのはやめよう。その結果自分が死んだっていいし、相手を殺してもいいと考え拾った鉄製のパイプを見せ「俺は本気だ。死んでもいい」と言うと、彼らは逃げていき、それをきっかけにいじめは無くなったそうです。
何かを変えるためには死ぬ覚悟を決めなくてはいけないことを学んだ。
第一章より引用
私は運良くいじめられた経験は無く、中学2年生の時などヘラヘラしながら過ごしていましたが、同じ年の頃に著者は辛い時間だったが命を掛けて成長している。自分とは全く違うんだと思うと自己嫌悪です。
劣等感を抱えていたり、いじめを受けていた現実世界から、疎外感を感じて余計に本の世界に入り込み、強い主人公になりきって自分を肯定して熱い言葉を獲得して成長していきました。
極端になれ!ミドルは何も生み出さない
感想こそ人間関係の一歩である。
第三章より引用
相手のやっている仕事に対しての、感想を伝えることから関係が始まります。そしてこの感想を伝えるときも、自分が読書で獲得してきた言葉を使うのです。
感想と言っても「面白い」「楽しい」という言葉だけじゃなく、相手の次の仕事を示唆するような言葉だったり、気がついてない部分を言って刺激を与えることです。
著者が超有名作家の五木寛之さんを、口説いたエピソードもとても魅力的です。
何も伝手が無いので、五木さんが書いたモノ全てに感想を手紙で送ってました。それも記事でも本でも出版されたら5日以内に送るというルールも自分で作りまる。出逢うことが出来たら「五木さんなので5日にしました」ということを言いたいが為です。
その時に抱えていた仕事自体も睡眠を削って行っていたのに、更に厳しいルールまで決めて手紙を送り続けました。17通送って本人と会うことが出来てすぐに原稿を書くことが決まります。それまでに送った手紙で語り尽くしていたので、すぐに決まったそうです。
相手の立場に立っての感想は読書をしていれば、主人公や相手の側に立ち、その時の心情や考えを理解して共感出来る様になります。この感想も書いた人の気持ちになれば、相手を刺激する言葉を送ることが出来る様になります。
読書とは
適切な言葉を選べなければ、深い思考は出来ない。表現することはおろか、悩むことすら出来ない。人は言葉を獲得することによって人生を生き始める。だから読書することは重要なのだ。本は最も身近で最も安価な人生を切り拓く決定的な武器だ。
「はじめに」より引用
著者見城さんの本の読み方を知ってしまうと、これまで自分がしてきた読書が幼稚にも思えてきます。しかしそれと同時に少しでも本に触れてて良かったと思うのと、これからも触れ続けていたいと思わせてくれ、もっともっと本を読まないと成長出来ないと思わせる一文です。
こんなにも「読書」を命がけで行うという考えを知れただけでも、この本を読んだ意味はあります。
親が不仲な家庭環境やいじめを受けていた世界から抜け出したいという思いで本を読んでいて、私も遅い出発になったけど離婚して辛い時に本を読み始めたのは、抜け出したいからだったのかも知れないとちょっとだけ共感してます。
まとめ
読み進めていると、著者の見城さんと自分とを比べてしまい、自分はちっぽけで弱いなと思っていることに気が付きます。
有名な作家とどうやって付き合ってきたか、原稿を書いてもらうまでに行った血の滲むような苦労話などを読んでいると、自分はなんて楽をして生きているんだ?と考えているのです。
それは、「はじめに」で書いてあった自己検証、自己嫌悪、自己否定をこの本を読んだ人に無意識にさせることが狙いの本だったのか!?と思うと改めて著者が天才に感じました。