「禅」と聞くと図太いとは真逆のイメージがあって意外な組み合わせに思います。しかし読みすすめると、図太い=自分を生きるというメッセージがありました。
周りに気を使って疲れたり、怒りを我慢できずに相手にぶつけたり、そんな悩みも禅の力で図太くなり自分の人生を生きていこうという一冊です。
Contents
著者紹介
枡野 俊明(ますの しゅんみょう)1953年2月28日
ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に選出された禅僧。
日本の僧侶、作庭家。曹洞宗徳雄山建功寺住職、日本造園設計代表、多摩美術大学教授、ブリティッシュコロンビア大学特別教授(Adjunct Professor)。神奈川県横浜市生まれ。
Wikipedia様より引用
著者のホームページ「歩歩是道場」には、日本や世界で作り出した「庭園」の写真が数多く掲載されていて、自分の庭もこんな風に出来たらと、写真を見るだけでも心が落ち着きます。
目次
第一章 ちょっと図太くなって、たくましく生きる
第二章 図太い人は、人間関係にも強い
第三章 図太い人は、気持ちの切り替えがうまい
第四章 怒りをため込まないで、図太く解消する
第五章 図太さを貫いたその先に
要約・気付き
禅とは
禅について何も知りませんでしたが、本書で説明してます。それは行住坐臥(ぎょうじゅうざが)を基本としてしている。
それぞれの漢字の意味は 行:歩くこと、住:とどまること、坐:座ること、臥:寝ること となります。
禅というと棒を持った住職の前で、長時間正座をして心を無にするというような修行をイメージしますが、そうではなく日常をきちんと過ごしていくことが禅的な生活に通ずるのでした。
悩みは人間関係
他人と比べたところで、自分は何一つ変わらないのです。
第一章より引用
「人間の悩みの殆どは人間関係」と書かれていました。この言葉でアドラー心理学の本で有名な「嫌われる勇気」を思い出します。同じ言葉が書かれていました。
「嫌われる勇気」では悩みを無くすためには、誰とも関わり合いを無くした宇宙に生きるしか無いと言ってました。しかし人間の幸福は他者貢献なので悩みは無くなっても、誰もいない世界では幸せにはなれません。
本書では「隣の芝生は青い」という言葉が書かれて、他者と比較してしまうが証拠も無く、自分が劣っていると勘違いしてしまいます。本当は同じ芝なのに。
逆に相手を見下せたとしても、いつか追いつき追い越されることを想像してしまい怯えてストレスになります。
本来比べるべきは他人と自分ではなく、過去の自分と今の自分です。誰かと比べそうになったらこの言葉を思い出して、自分と比べましょう。過去の自分と比べると成長を感じられます。
鈍感で良い短所
敏感になるべきは長所、鈍感でいいのは短所。
第一章より引用
人に言われて気になってしまうのが短所ですね。長所を言われてもその場で喜んで終わる時もありますが、短所を言われるとずっと引きずる事があります。
でもコレは何も良いことありません。
ネガティブになるだけで、短所を改善しようとも苦手意識が働いて効率的に進みません。
才能でも短所を補おうと嫌いなことを一所懸命にやっても、好きなことをやった方が効果的で何よりも楽しい!
短所を補うより、長所を伸ばすことにフォーカスした「図太さ」を持ちましょう。出来ない短所は他人に任して、任せた人の短所を自分がフォローして出来た時間で効率よく長所を伸ばすことが出来れば人生楽しいはずです。
怒りには
「腹が立ったら、何かいったり、したりする前に一〇まで数えよ。それでも怒りが収まらなかったら、一〇〇まで数えよ。それでもダメなら一〇〇〇まで数えよ」米国の独立宣言を起草して第三代大統領となったトーマス・ジェファーソンの言葉です。
第四章より引用
これまで読んだ本の中にも「怒りを感じたら数秒数える」という方法は記載されてましたが怒らないためには1000まで必要でした。1000数えているうちに落ち着いて、数えている自分が笑えてきそうです(笑)
怒った相手に怒りで対応するのは、相手と同じ土俵に上がることです。土俵に上がって来た「敵」が現れたら相手は更に戦闘意欲を掻き立てて、引くに引けなくなります。1000まで数えるのが現実的に思えないので、「怒りを書き出す」ことをオススメします。
文章にすることでその時起こった出来事を整理出来て、冷静な判断ができます。
その出来事も過去に起こったことなので「現在を生きる」と切り離して考えたいですね。
禅語:前後裁断(ぜんごさいだん)
いちばんの「仕返し」は堂々と生きること
第四章より引用
禅の言葉で「前後裁断」という言葉があります。
相手からネガティブな事をされてしまった場合、怒りに任せて仕返しをしてやろうとその方法を考えたり、よりダメージを与えること頭の中でループするように囚われてしまうことがあります。
これは時間の無駄なのです。
復讐出来たとしても後悔したり、それ以上に相手が仕返しをしてきたりして解決どころかより泥沼化することもあります。過去に囚われないで今を生きよと言っています。
またこの先、親の介護が必要になったらどうしようと不安になったり、老後の資金が足りないと困ってしまうと、まだ先の未来を心配をし過ぎてしまい、これも今を生きれてません。
この言葉は、四季は決して、春が夏になって秋が冬になったのではなく、季節がつながっているようでも、実はそれぞれが切り離され独立してその季節を現出させている。一つ一つの季節を見る。つまり「今に集中して生きればいい」と言うお言葉です。
前(過去)後(未来)を切り離しましょう。
禅語:露堂々(ろどうどう)
禅語で露堂々(ろどうどう)とは「何も隠さずありのままの姿が現れている」という意味です。
私達は自分の欠点や弱点を隠そうとしてしまいます。隠せば隠すほどバレた時が恐怖に思え必死になってしまいストレスを抱えながら生きていくことになります。
誰もが弱みやプライドは持っています。それらをさらけ出したり、自分の失敗談を話すことで、周りの人から信頼を得ることが出来て、今よりもっと魅力的になります。
周りの人を想像してみると、弱点を見せている人ほど人間味が溢れ魅力的に思えます。
落ち込んだ時には
禅語:一掃除二信心(いちそうじにしんじん)
禅の考え方からいえば、落ち込んだときにすすめたいのが身体を動かすことです。なかでも「掃除」がいちばん。一所懸命に身体を動かしていると余計なことを考えずにすみます。
心を落ち着かすにも、汚れた部屋では整うはずもありません。部屋をキレイにすることは心のチリやホコリもキレイに落とすことになります。
落ち込んだら掃除しましょう!
まとめ
人生に幕を下ろし旅たつときに
「ああ、いい人生だったなぁ。やることはやりきった」と感じることのできる人生が一番素晴らしいと言うことです。「あとがき」より引用
図太く生きる意味。
自分で最後にいい人生だったと思えるようにするには、自分の人生を生きなさいと言っているように思います。
人の視線や意見を気にして、自分の言いたいことやりたいことを我慢していては、最後にこの言葉は出てこないです。
感謝して図太く自分の人生を生きましょう。