以前から「投資=いかがわしい」というイメージがありましたが、最近の読書でそのイメージは変わりつつあります。そこへ教養として投資することでエリートになれる!?とあると興味津々です(笑)
本書は投資して儲ける為のノウハウ本ではなくて、投資に対しての考え方が学べる1冊です。
著者の紹介・目次
【著者】
奥野 一成(おくの かずしげ)
京都大学法学部卒、英ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫へ。07年から機関投資家向けの長期厳選投資ファンドの運用を手掛ける。14年から現職。17年7月から個人向けの投信「農林中金〈パートナーズ〉長期厳選投資 おおぶね」を運用。
日本経済新聞さまより引用
【目次】
1時限目 投資家の思想が人生を成功に導く
2時限目 私の投資家人生
3時限目 日本人はなぜ投資が苦手なのか?
4時限目 「投資」と「投機」は違う
5時限目 売らない株を買えばいい
6時限目 ファンドマネジャー流株式投資で成功するコツ
補講 資産形成で失敗しないために
要約・感想
労働者2.0を目指す
労働者1.0は、自分がどうしたいという意思を持たず、他人の指示にしたがって他人のために働く労働者です。
1時限目より引用
本書の理想は「投資家」になること。しかし急に投資家になれと言われても、イメージが沸かないので、今自分が「労働者1.0」だとしたら「労働者2.0」を目指しましょうと言ってます。
自分の時間と才能という資産を、他の人に搾取されたままにして、指示をされて人の為に働く事を「労働者1.0」と言い、自ら問題を見つけ出し解決して自分の視野を広げて自分の為に働く事が「労働者2.0」です。自分自身が働く以外にも収入を得られる方法に、気付けるので、投資を組み込もうという発想が生まれます。
少し前の私は、楽することしか考えて無く完全に「労働者1.0」でした(笑)離婚してから初めて将来を考えて、少し考えるようになり投資も初めてます。「労働者2.0」になりたいと思ってます(笑)
少し乱暴にも思える「労働者2.0」という言い方ですが、著者はこの労働者2.0のマインドを持った働き手が増えれば、日本企業は競争力を取り戻すことができると考えているのだと思います。
日本人は投資が苦手
日本が経験した第二次世界大戦における敗戦があったのではないかと考えています。
3時限目より引用
これまで読んだ本やサイトで「日本人は投資が苦手」という事が多く書かれていました。リスクがある投資よりも、安心できる貯金が大好きなのです。
これはバブル時代の利子が高かった為に、多くの人が郵便局へ貯金をしてました。ノーリスクでお金が増えれば当然ながら皆やりますね(笑)そのために貯金を優先する考えや教育があったからだと思ってました。
しかしそれよりも昔の敗戦が影響されているという考え方が書いてありました。この敗戦により、2つのポイントで日本人は資本家のマインドを喪失してしまったのです。その2つのポイントとは。。。
- 財閥解体・・・敗戦後の日本に入ってきた連合軍には、財閥が軍国主義を制度的に支援したという認識があり、財閥を解体させれば軍国主義がなくなると考えられた。日本にあった4大財閥は解散させられ資本家マインドの喪失につながった。
- 労働者1.0に・・・焦土と化した日本では、投資をするお金は勿論のことその日に食べるモノも無かった。その日を生きるに労働力を売るしか無くて「労働者1.0」になってしまった。
この2つが日本人の根っこにあって、その上にバブル時代の貯金に対して高利子があったのです。これにより投資に対する教育もされてきませんでした。親からも貯金しなさいと言われていた理由がやっと分かりました。
しかし今は利子が定期預金にしても0.001%とか、低い数字になっていてメリットが無いのです。
以前この記事にも書きましたが、それでも世界の家計簿を見ると貯金の割合が 日本54.2% アメリカ13.7% ユーロ34.9% という結果になっています。
購入する株
強靭な構造とは、3つの要素に支えられています。「高い付加価値」、「高い参入障壁」、「長期潮流」です。
5時限目より引用
この要素を持っている会社は、構造的に極めて強靭なので株式を保有し続けられると考えて良いでしょう。
株を購入して高くなったらすぐ売って、利益を出すという考え方では無いです。良い会社の株を長期に保有して、還元してもらうという考え方です。そして株を選ぶ時にはこの3つの要素を確認しましょうと言ってます。
- 「付加価値」・・・世間に必要なもの・情報を生み出しているか。
- 「参入障壁」・・・他社には真似できない、超えられない強いモノがあるか。
- 「長期潮流」・・・少子高齢化問題を、プラスに捉える流れをもっているか。
コカ・コーラ社の株を例に取って説明されてました。
投資の神様と言われたウォーレン・バフェットが、コカ・コーラの株式をずっと保有し続けています。バフェットはチェリー・コークが大好きで毎日飲んでいるそうです。これは美味しいという①付加価値があるから毎日飲んでいると言えます。
②参入障壁でみると、生産設備と販売網構築への投資、加えてブランド構築のための広告宣伝費等を莫大に掛けてます。ここへ他社が参入するには飲料水を売る前に、莫大な費用が必要になります。
③今後の日本では少子高齢化で人口が減りますが、世界を見ると人口は増加していきます。人口が増えると言うことは、コカ・コーラを飲む人も増えて売上は増えていく計算になります。
ということで私もこの文章を読んで非常に納得しましたので、少額ながら「コカ・コーラ社」の株を購入する予定です(笑)
まとめ
投資と言うとデイトレードのように、チャート表に張り付きローソク足の動きに合わせ売買を繰り返して行うイメージがありましたが、テクニカル分析やチャート分析は「バカバカしいものである」と切り捨ていました(笑)
この本の著者は長期投資が基本で「日本のバークシャ・ハサウェイを目指す」と書いて有りました。「バークシャ・ハサウェイ」とは、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットの会社です。
そうして出来たのが「農林中金バリューインベストメンツ」という会社です。会社のメインで扱っている商品に「おおぶね」という投資信託が有りましたので、iDeCoでその商品に毎月23,000円を積立投資をはじめました。
読み終えてビジネスエリートになれたとは思えませんが(笑)これまでの「投資」の本とは違う角度から、投資について知ることができた一冊でした。